漂うプラスチックの板への加熱による縮みは、自分の思い通りに操作することは難しい。その制御できない力から生み出された動きを水面というモチーフに落とし込み、水面の瞬間的な動きを切り取る。外的要因がきっかけで変化や動きを伴う水面を、鏡面の形が変わることのない鏡で表現する。水面の瞬間的なきらめきを当たり前に眺めることができる作品として展示することで、心のよりどころとしてこの作品が成り立つことを願う。小出乃維中田研究室2023年度造形
自己像人は日々の生活を送る上で常に現在の自分と向き合い続けているのではなく、自身はそこに存在していても意識は明日の自分に向いていたり、数日前の自分を思い出してそこに戻りたくなってしまったりするといったことがあるのではないだろうか。この作品は、71日分の自身の像の集積による、日々の連続性の中での自己の所在と意識の乖離を表現する作品制作である。 安住天希中田研究室2023年度造形
発光性漆の開発「陰翳礼賛」では暗がりの中でわずかな光を受け止め、反射する漆の趣深さについて語られるが、現代では漆は明るい空間にあることが多い。また、照明技術が発達した現代において我々は非日常を体験するために意図的に暗さを求めることさえある。本研究では、漆を現代の暗さへの価値観にも対応させることが可能であれば漆芸の領域を拡大できると考え、漆と蓄光粉末を併用することで暗所で発光・変色する表現技術を提案する。平山正悟土岐研究室2023年度デジタルファブリケーション乾漆加飾漆蓄光造形
デジタルデザインを用いた匂いの造形化と社会的応用に関する研究近年,柔軟剤などに含まれる合成香料の匂いによって不快感や健康被害が生じる香害や,コロナウイルス感染症の後遺症である嗅覚障害が問題視され,社会における匂いに関する理解の重要性が高まっている.ビジュアルコンテンツで匂いを可視化することで,匂いの感じ方を拡張するとともに,匂いの注目度を高める可能性がある.そこで,嗅覚の有無関係なく全ての人に造形を介して匂いの印象をデザイン的に提示することを目指す.松川かの子佐藤研究室2023年度プロダクト匂い造形
スキャニメーションを活用した新たな変色表現変色表現を可能とするような事例には、特殊な塗料や印刷技術など様々なものがある。しかし、それらは角度や温度によって色が「変わる」タイプの変化であり、そこにはユーザーの意図が十分に関与していないと考えた。そこで、当研究ではスキャニメーションという手法を活用し、角度で色が「変わる」表現に加え、ユーザーがスリットを動かすという行動を通じて色を「変える」ことができるような仕組み・作品を制作した。岡本泰己伊藤研究室2023年度アートグラフィックデザインスキャニメーション色彩造形造形デザイン
蓄光液体の行方本制作は、気候や寒暖差、重力など自然界の摂理に委ねられて形成される造形を、作者がルールを定めることで意図的に造形構成として成立させたものである。流下するレジンにUVライトを照射し硬化させることで、自然の規則に則って誕生するつららを連想させる造形を、作者の緻密なコントロールによって作り上げた。作品と相対する距離によって、自然の規則を受けている箇所・制御されたことが明らかである箇所を発見できるだろう。渡辺陸太中田研究室2022年度アート造形
時の流れを感じる 何時何分という刻まれた時間ではなく、区切りのない「流れ」として時間を意識することで、時間との新しい付き合い方ができると考え、このテーマを設定した。時間の流れを感じられる動きを知るために意識調査を実施した結果、多様に変化する液体の動きが挙げられた。この調査を基に、時間の「流れ」を表現するために水とオイルを用いたオブジェを制作した。今澤沙知伊藤研究室2022年度造形
潜在する本制作は、糸状のものを用いた手編みによる造形作品である。作品内に入り、一人の空間で編み目を見つめてみたり、袖に手を通してみたりといった作品との触れ合いへ誘導することで、作品に対して自身を投射する“感情移入”、その中で何を感じたか、どんな行動をしたか、それは何を起因としているのかといった部分を、自身で客観的に観察する“自己観察”を促すことを目的としている。木村真優中田研究室2022年度デザイン造形
海ごみで作るマリン・カレンシー本研究ではプラスチックのメリット、デメリットを再確認したうえで、消費者が、利点と弱点とを併せ持つプラスチックに対して、どのように向き合うべきか考える機会を与えることを狙いとしている。そこで収集した海洋プラスチックごみを素材として価値あるものに昇華させることを目指す。金谷 佳樹日原研究室2022年度デザインプラスチック造形
ヨガを「読み描く」近年、日常的にストレスを感じながら生活をしている人や気分障害の患者数が大幅に増加している。一般的にストレスを解消するためには適度な運動が効果的であり、その適度な運動として、身体面と精神面の両面に良い影響を与えるヨガに着目した。本研究では、舞踊の記譜法であるラバノーテーションを用いて、一般的に浸透度の低いヨガをプロモーションするカードゲーム「body music」を制作、提案する。 及川詩織日原研究室2022年度カードゲーム造形