質的研究法を利用した盛岡じゃじゃ麺の知名度向上のためのプロモーション施策
齋藤まあこ
日原研究室
2020 年度卒業
岩手県盛岡市の郷土料理「盛岡三大麺」のうち知名度が低い「盛岡じゃじゃ麺」に着目し、知名度向上のための施策提案を行いました。 盛岡じゃじゃ麺に関する口コミを収集し、質的研究(QDA)法を用いた分析結果から問題点を導き出し、それを解決するための制作としてパンフレットと動画を作成しました。
https://youtu.be/3J4isUNiDeg

はじめに

郷土料理とご当地グルメ、それらが地域振興にむすびつく重要な役割を担っていることは自明である。岩手県盛岡市には、盛岡三大麺と呼ばれる有名な郷土料理が存在する。盛岡冷麵・わんこそば・盛岡じゃじゃ麺である。本研究では、この中にあって他よりは知名度の低い「盛岡じゃじゃ麺」に着目し、関連する口コミを収集、その質的研究(QDA)法を用いた分析結果から、知名度向上のための有効なプロモーションを提案したいと考えた。本研究の目的は

1盛岡三大麵おいて盛岡じゃじゃ麵が比較的知名度が低い理由を質的研究法の内のQDA法に基づいて明瞭化させること。

2上記分析結果に基づいて、知名度アップのための有効なプロモーション制作を行うこと。

以上の2つとした。

調査

調査方法は以下の順番で行った。

1文献調査

盛岡じゃじゃ麺の認知度に関するアンケート調査について取り上げる。

2QDA法による分析

盛岡じゃじゃ麵に対するネット上の口コミを収集し、MAXQDAソフトを使用した分析を行う。

3企画提案

盛岡じゃじゃ麺の認知度向上につながる周知媒体を提案する。

・認知度に関するアンケート調査
宮城県と岩手県(出身を含む)の大学生、社会人47名に「全国的に盛岡じゃじゃ麺は三大麺において最も認知度が低いと思うか」という問いのアンケートを実施。その結果「思う」が35人の74%、「思わない」が12人の26%となった。7割以上が盛岡じゃじゃ麺の認知度が低いと感じている結果となった。

・QDA法による分析

はじめに盛岡じゃじゃ麵に対する口コミをインターネットサイト食べログから約100件収集した。次にそれらをMAXQDAソフトへ集約し、情感コード(不快、平静、悲しみと怒り、快感、喜び)によるコーディングを行った。次に、選抜されたデータに行動系のコーディング(食べ方、訪問動機等)を行い、親和性の高いものごとにカテゴライズをした。じゃじゃ麺への評価に大きく影響を与える要素を考察したところ、カテゴリーの種類は大きく分けて次の3種類となった。

1じゃじゃ麵・ちーたんたんの食べ方の理解度

2値段に対する評価

3混雑状況や店内環境などの外的要因

3つのカテゴリーで最も多く言及され重要である要因は1のじゃじゃ麵・ちーたんたんのカスタマイズについてであることが分かった。

これらを踏まえて、人がじゃじゃ麺を評価するまでのストーリーの流れを導き出した。じゃじゃ麵とちーたんたんのカスタマイズが分かっている人は、値段や混雑状況に問わず満足することが多く、再来店や満足する結果になる事が分かった。どちらかのカスタマイズができる人は、コストパフォーマンスや混雑状況によってリピートすることを検討し、全くカスタマイズができない人は検討をしない傾向であることが分かった。

問題点

以上で明らかになった問題点をあげたところ、じゃじゃ麺をカスタマイズできる人がまばらであること、店内が混雑している場合は退屈を感じ不満につながってしまうことであると考えた。

研究方法

制作

分析を踏まえて、制作で念頭においたことは、

1じゃじゃ麵はカスタマイズするものと認識させ、そのやり方の基準となる指標を具体的に示すこと

2店舗での待ち時間の有効活用

の2点である。

本研究では、じゃじゃ麺の食べ方を主な内容としたパンフレットと動画制作を行った。また、食べ方に関して盛岡じゃじゃ麵を日常的に食べている人16人にアンケートを取り、最もオーソドックスな食べ方を制作物に反映した。

・パンフレット

パンフレットは店舗に来店した人をターゲットとし、待ち時間に閲覧してもらうことを想定している。形は目を引くために丸型にし、混雑している狭い環境下でもコンパクトに使用できるように蛇腹折りにした。また、中にじゃじゃ麵の食べ方を動画で観賞できるようQRコードを添付している。

 

・動画

動画は店舗に来店する人だけでなく、すべての人をターゲットとし携帯等があればどこからでも見られることを想定している。時間は1分程で、じゃじゃ麵のカスタマイズの一例を簡潔に表現した。YouTubeのほかにInstagramのリール機能などの短尺動画をプラットフォームとしたSNSにも投稿することで、より目につきやすく気軽に見てもらうことを狙いとした。

 

 

まとめ

QDA法による分析やアンケート調査を通じて明らかになったのは、盛岡じゃじゃ麵がセルフメイドな料理であることによって生じる「味の振り幅」を特徴とすることだった。そして、その独自性を特長として捉え、前面に立てたプロモーションを企画・実施することが、じゃじゃ麺知名度アップのために有効であることの可能性が示された。

参考文献

【岩手県】【盛岡じゃじゃ麺】とは?発祥と由来を解説 | にっぽんの郷土料理観光事典
(https://kyoudo.kankoujp.com/?p=1513)
盛岡近郊の「じゃじゃ麺」 [食べログまとめ]
(https://tabelog.com/matome/4858/)

研究を終えて

慣れないソフトを使った分析にかなり時間がかかり、苦労したが盛岡じゃじゃ麺の知らなかった背景を知ることができ面白かった。盛岡冷麵が全国的にトップで人気だが、それに少しでも盛岡じゃじゃ麺が近づいて美味しく食べられる人が増えたらいいなと思う。

メニュー