手袋着用時のスマートフォン操作改善手法の検討
阿部愛海
鈴木研究室
2020 年度卒業
本研究では,手袋着用時にどのようなタッチジェスチャが操作しづらいのかを調査するため,数種類のタッチジェスチャの操作パフォーマンスを比較する実験を行った.その結果,手袋着用時は特にマルチタッチジェスチャとダブルタップのパフォーマンスが低下する傾向がみられ,これらのジェスチャを他のジェスチャで代替することで操作しづらさが改善される可能性が示された.

はじめに

本人の身体特性や認知特性に関わらず,周囲の温度,振動,荷物の負荷等の状況によってスマートフォンの操作が困難になることがある .このような事態はどの使用者にも起こりうることであり,スマートフォンを日常的に使用することが当たり前になった今,様々な状況を想定して対応していくことが快適な使用に繋がる.たとえば,手袋を着用して静電容量式タッチパネルを操作する場合,手
袋がタッチパネル対応のものであっても素手と同様の細かい操作を行うことは困難になるため,対策が必要である.本研究の目的は,手袋着用時のスマートフォンの操作しづらさを改善することである.本研究では,スマートフォンの操作に対する手袋着用の影響について調査し,その結果に基づいた操作改善手法の検討を行う.

調査

研究方法

本研究では,直感的かつ複雑な指令を出すことが比較的容易であるタッチジェスチャに着目し,手袋着用時,精度や速度等のパフォーマンスが高いジェスチャを調査した.まず,一般的なスマートフォンで採用されているタップやスワイプ等のタッチジェスチャの比較実験を行った.その後,パフォーマンスが低かったジェスチャをその他のジェスチャで代替する操作手法が手袋着用時に有効かどうか確かめるための実験を行った.

まとめ

本研究の結果,特にダブルタップとマルチタッチジェスチャのパフォーマンスが低下する傾向がみられ,それらのジェスチャを他のジェスチャに置き換えることで,手袋着用時のスマートフォンの操作しづらさを軽減できる可能性が示された.

本研究のジェスチャを対象とした実験と同様に,手袋着用時に効果的なターゲットアイコンの形状や位置等を明らかにしていくことで,手袋を着用してのスマートフォン操作に対応する設計ガイドラインを作成できると考える.

参考文献

[1] Z. Sarsenbayeva, J. Goncalves, J. Garcia, S. Klakegg,S. Rissanen, H. Rintamaki, J. Hannu, and V. Kostakos.Situational impairments to mobile interaction in cold environments. In UbiComp ’16, pp. 85–96, 2016.
[2] Z. Sarsenbayeva, N. van Berkel, C. Luo, V. Kostakos, and J. Goncalves. Challenges of situational impairments during interaction with mobile devices. In OZCHI ’17, pp.477–281, 2017.

研究を終えて

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