地域活性化を促すゲームコンテンツの提案
新庄まつり山車を制作するゲームの開発
高橋一希
須栗研究室
2021 年度卒業
山形県新庄市の伝統行事である「新庄まつり」の山車を自由に制作できるアプリケーションを制作。新庄まつりとは、各町内が1年かけて制作した山車が町内を練り歩く催事で、ユネスコ無形文化遺産に登録されている。この祭りが抱えている山車の作り手不足と、コロナ禍での通常開催が出来ないという2つの課題を解決するために開発を行い、効果を検証した。
https://apple.co/3JB5qfO

はじめに

近年、日本では地方から主要都市への人口流出が加速し、地方の伝統文化や産業、自然などが人の目に触れることなく廃れていく問題を抱えている。

本研究の目的は上記の事を踏まえ、現在人口減少が進み、新型コロナウイルスの影響で地域の伝統行事を行うことが困難な状況にある山形県新庄市の魅力を発信し、地域活性化の新たな手法の発展に貢献することである。具体的に本研究では、新庄市の伝統的な祭り行事である「新庄まつり」について扱う。

調査

新庄まつりについて
新庄まつりとは、各町内が1年かけて制作した山車が町内を練り歩く催事で、ユネスコ無形文化遺産に登録されている。山車の作り手不足と、コロナ禍での通常開催が出来ないという2つの課題を抱えている。

ゲームの活用
2012年に群馬県をモチーフにした「ぐんまのやぼう」というゲームがリリースされ、同年に群馬県観光特使に任命されている

研究方法

提案
新庄まつりに登場する山車を、プレイヤー自身で自由に制作できるゲームを制作し、山車制作への関心向上、さらにはゲームという手法が、感染リスクの低い地域活性化の手法であるという事を確立させていく。

制作プロセス
ゲーム開発にはUnity、コードエディタにはVisualStudioCode、3DオブジェクトのモデリングはBlenderとMetaShapeを使用した。制作物
スタート画面で町内会を選択し、その後はメニュー内のオブジェクトから任意の物を選択しながら山車に配置していく。ゲーム性を持たせるために、 オブジェクトのそれぞれにコストを設定し、総コスト制限のある中での山車制作を体験してもらう。完成後はスクリーンショット機能を使用し、作成した山車の画像を保存して終了となる。

検証
開発したゲームをApp Store上に一般公開し、アプリをプレイした人を対象にアンケートを取った。アンケート項目は「このアプリを使用する事によ って山車制作の面白さを感じる事ができるか」と「このア プリを使用する事によって祭りを活気づけたり、地域活性化に貢献できたりすると思うか」の2項目を調査した。

まとめ

考察
検証結果から、本アプリは山車制作の楽しみを知ってもらう事ができ、改良や活用方法次第では新庄まつりの盛り 上げや地域活性化への貢献が十分に出来るといえる。したがって、ゲームという手法が誰でも気軽に触れることができ、かつウイルス感染リスクの低い地域活性化の手法であるということもいえる。

今後の展望
まずは機能のアップデートである。アンケート内の回答で挙げられた、コストシステムの見直し、自身で制作した山車データのセーブとロードをする機能、AR撮影モードで稀に起こるバグの修正、 さらには若蓮ごとの囃子をBGMで流す事ができる機能の追加などがアップデート事項に挙げられる。

次に、アプリの活用である。実際に行われる新庄まつりは、各若蓮が制作した山車を鑑賞して優秀作品を決める催事である。そこで、実際の祭りと同じように、アプリで制作した山車の画像をネットワーク上(特設WebサイトやSNSなど)で鑑賞し、 優秀作品を決めるイベントを行う。イベントの楽しさや、 新庄市民以外も手軽に参加できるかなどを検証し、ゲームアプリの活用が、感染リスクの低い効果的なイベント手法であるかどうかを考察する必要があるだろう。

参考文献

中村彰憲(2021)ゲームを活用した地位活性化を整理する.ファミ通,2021年4月15日
https://www.famitsu.com/serial/nakamura_game_industr y/202104/12217575.html

週刊アスキー(2012)「ぐんまのやぼう」作者が群馬県の観光特使に就任,週刊アスキー,2012年11日
https://weekly.ascii.jp/elem/000/002/610/2610706/

新庄まつり実行委員会(2016)新庄まつりとは,新庄まつり公式サイト,2016年,
http://shinjo-matsuri.jp/about.html

研究を終えて

企画、設計、開発を1人で行ったことで、システム開発の難しさを実感できた。UI設計をもっと磨いていきたいと思った。

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